fun復刻:男を思い通りに操る術、教えます。

ビジネスホテルの一室。
薄暗い部屋。

わざと暖房を止め、窓を少しだけ開ける。
コートを着たままの私には涼しくて気持ちのいい風。

でも、裸になっている男には、少し寒すぎるかもしれない。

首輪に繋がれた男性を見おろす。
首輪には錠をかけてしまった。
だから、もう、彼には首輪を外すことはできない。

小さな南京錠が、彼の人格を奪い続けている。
南京錠をカチリとかけた瞬間に、ピクッっと震えてから、いまも小刻みに震え続けている。
震えているのは、寒さが理由ではなさそう。

今まで経験したことのない恥ずかしさに、躯の奥から震えているみたい。
ただ首輪に錠をかけただけなのに。

赤い首輪。
しっとりとした品質の首輪を買ってあげた。

安物じゃないからね、皮膚に傷はつきにくいよ。

幅も4.5cmと広め。
バックルが二つ並列についている。
しっかりと隙間なく首にフィットさせた。

強く引っ張っても、ずれたりしない。
だから、擦れて痛むようなこともない。

これなら、しばらく着けっぱなしでも大丈夫だよね？

リードのフックを首輪に掛けながら聞いた。
小さく頷く彼の顔は、真っ赤に火照っている。

嬉しそうにリードを弄ぶ私の指先を凝視したまま、何も考えられなくなっている。
でもね、受け身の奴隷なんていらないよ。
早く奴隷の立場を理解しないとね。

リードを握ったままソファーに腰掛ける。
初めて首輪で繋がれた男性は、だれでも同じ行動をとりたがる。
身体と身体の距離が離れると恥ずかしくなるから、その恥ずかしさから逃げたくて、私に近づいてくる。

でも、甘やかさない。
初めてだからって甘やかすようなことは、しない。


近づくことを許さない。
クリスマス・イブには、クリスマスツリーの隣でオブジェになってもらうから、今日は練習にピッタリ。
私から離れたところで恥ずかしさに震えながら、私に近づくことを禁止される練習。

リードをソファーの足に縛り付ける。
そしてソファーから離れてベッドに腰掛ける。
これで、私に近づくことができない。

離れたところから彼を観る。
離れた所から、全身をゆっくりと眺めてあげる。

バックから取り出したデジカメを彼に向ける。

ねえ。
チンチンのポーズって知ってる？

そんな質問を浴びせるだけで、彼の顔はさらに赤みを帯びる。
目には薄らと涙がたまる。
小さかった震えが、時折、大きくなる。
声は出ていないけど、呼吸が荒くなる。

ちょっと意地悪な質問をしただけ。
そんなに反応してくれるなら、チンチンの躾でもしちゃおうかしら？
声を出さずに笑ってあげた。

私の笑顔を見て、彼はもっと呼吸を荒げる。
もう、底なし沼にはまっているね。

ねえ？
知ってるかどうか聞いてるんだよ？

返事を促す。
カメラを向けたまま。

動画で撮ってあげようか？
メモリもたくさんあるし。

彼の精神が少しずつ崩壊していく。
音もなく崩れていく。

ねえ。
聞いてるの？
返事できないなら、もうオシマイにしようか？

首を横に振りながら、哀願の目を私に向ける。

この顔が見たくて、意地悪してるんだよ。
私の顔が嬉しさと楽しさで緩んでいく。

もっと楽しませてくれるんだよね。
視線だけは意地悪モードを保ちながら、彼への愛おしさに負けてしまう。

近づくことを禁止した私。
でも、私から彼に近寄ってしまう。
そして、優しく抱きしめてあげる。

裸の彼。
コートを着たままの私。

均衡の取れていない抱擁。

抱擁を解いて、上目遣いの意地悪な顔を彼に向ける。

ねえ。
チンチンのポーズ知ってるか聞いているんだよ。




もうすぐボーナスですね。
大好きな彼に首輪を買ってあげる約束をしたんです。