小説 「嵐の夜に」 その5
2007/06/20(水)
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さて、奇襲攻撃といえば「男を思い通りに操る術、教えます。」ということを覚えていますか?
奇襲攻撃したかったんじゃなくて、毎日更新したかったんです。
もう、ほとんど病気ですね。
こんな私を癒してください。 ちょっとエッチなメールが、私を元気にします。
↑本気にしちゃダメですよ。
ところで、さっちゃんのM性とS性を感じてもらえてるかな。 切ないほど真剣なSとMだったんだよ。

テッチャンの大学の入学式は、私の大学よりも一日早かった。
入学式までは、ふたりとも暇だった。 部活も受験勉強もなかった。 地元から遠く離れた場所だから、友達もいなかった。
ふたりとも、お金がなくなっていた。 だから、スーパーの安売りで買い物して、自炊するしかなかった。
テッチャンは、ふたりで一緒に生活しようって言ってくれた。 テ ッチャンの部屋の上の階から、ひどい水漏れがあった。 テッチャンは、不動産屋に文句を言って、違う部屋を探してもらうことになった。敷金と礼金、一ヶ月目の家賃は、全額返してもらえた。
引越しといっても、荷物はほとんどなかった。 素直になったふたりに、大きな幸福。
そしてテッチャンは、私の部屋のそばに引っ越してきた。 とても狭くて、シャワーもトイレもない部屋。
「さっちゃんの友達や両親が遊びに来たときだけ、自分の部屋に帰るんよ。 だから、どんなに狭くても、気にならないよ。」
月の家賃は、6万円から3万円に減ったと喜んでいるテッチャン。 その3万円は、食費と光熱費だといって、私に払ってくれることになった。
新婚のような生活を始めたふたり。 テニスウェアをパジャマのように着て、毎晩抱き合った。
若いふたり。 抑制するものもなく、ただ時間と体力だけを持て余していた。
小学生のころにテッチャンが公園の木から落ちたときのことを話した。 骨折したテッチャンのお見舞いにいった私がプレゼントしたのは、10羽だけの千羽鶴。
私が中学生のときに虫垂炎にかかった。 入院したけど、手術しないでクスリだけで治った。 そのときにテッチャンが持ってきたのも、10羽だけの千羽鶴。
どっちが先に好きになったのか。 先に好きになったほうが勝ちなのか、負けなのか。
私がテッチャンのこと好きになったのは、東京に引っ越してきてからだよ。
俺はね、さっちゃんがテニスウェアを着たときだよ。
そんなクダラナイことを、朝まで話した。
大学が始まった。 サークルに勧誘されて、歓迎コンパや練習にも参加した。
テッチャンも、同じようにサークルに入った。 別々の大学なんだから、もちろん、別々のサークル。
サークルは、テニスのためのサークルのはずもなく、男女のキッカケをつくるのが目的のようだった。 テニスに真剣にならない活動だったけど、いままでと違う生活だから楽しかった。
・・・ でも、テッチャンもサークルで女の子と楽しんでいるんだよな、、、
サークルの先輩が着ていたショーツとブラ。 そして網タイツ。 香水と化粧。
私は、まだまだ子供だって再認識した。
・・・ テッチャンのサークルにも、こういう女がいるのかな。
急に不安になって、、、テッチャンに電話を掛けた。
でも、不安になっていたのは、私よりもテッチャンのほうだった。
誰にもテッチャンを渡さない。 そんなことを思っても、きっと上手くいかない。
テッチャンを渡さないためには、そんな考えではダメって知ってる。
テッチャンのこと、一番知っている私だから、私だけの方法が見つけられるはず。
そう。 「誰にもさっちゃんを渡さない。」ってテッチャンに思わせることにした。
テッチャンは、負けず嫌いだから。 テッチャンは、一途だから。 テッチャンは、つよい女の子が好きだから。
テッチャンは、惚れられるよりも、惚れているほうが好きだと思うから。
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