fun復刻:男を思い通りに操る術、教えます。

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小説「悔しくないの?」 その2


最近、読者が増えています。
とっても嬉しいけど、昔に書いたフィクション小説は読んでくれたかな?
徹夜で書いたこともあって、苦労したんですよ。

もし読んでいない方がいたら、ぜひ、ご一読くださいね。
今、読んでみると、恥ずかしいですね。 実話の部分も多いし
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http://tomo2008.blog.shinobi.jp/Category/4/2


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昨日は約束のデートだったんです。 ネクタイを一緒に選んで、そのあとはディナーの予定。

吉澤さんと銀座4丁目で待ち合わせして、まずは三越の並びにあるネクタイ専門店に行ったんです。
品物が良さそうっていうのが一番の理由だけど、店員さんに教えてもらえそうなところをインターネットでチェックしておいたんです。 

彼の趣味でもある「釣り」をモチーフにした素敵なネクタイを発見。
店員さんにキチッと試着してもらって、鏡越しに一緒に確認。
やっぱり、キチッと着けると、ピシッと決まるね。

銀座専門店のネクタイってことで、安くないんです。
それでも「似合ってるよね。ちょっとカッコイイかも。」という私の言葉に押されて、吉澤さんは、さっそく買いそうになってたんです。 なんか可愛いよね。
でも、最初に入った店で買うなんて、ショッピングを楽しんでいない感じでしょ。 男の人って、気に入ったらすぐに買っちゃうけど、ショッピングの醍醐味は比較して悩んで、それで決めるところじゃない? そうやって買うから、大切にするんだしね。

ネクタイに詳しい年配の店員さんからネクタイ選びのコツを教えてもらったら、デパートに駆け込んだ。
レストランの予約まで、あんまり時間がないから、急いで探さないと。

でもやっぱり、最初のT本店のネクタイが一番良かったってことになって、せわしなくお店に戻ることに・・・
さっきの店員さんが見当たらなかったけど、選んだネクタイを見つけて、今度はすぐにお会計。

会計が終わると、今度はレストランに直行。
銀座をブラブラと楽しんでいる人たちが歩道いっぱいに広がっていて、急いでる私にはとってもジャマ。

それに吉澤さんも、なんかノンビリしてるんです。 もう、急ごうよ。
「友達の店だから、遅れても大丈夫だよ。」って言ってくれる吉澤さんだったけど、遅刻は嫌いなの。
それにね、友達だからこそ遅れちゃダメでしょ?

なんてことを話しながら、結局は5分の遅刻。

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「お。彼女か?」
店の奥から出てきた彼の友達。 

吉澤さんは否定も肯定もせず、自分の好きなテーブルを選んで私をエスコートしたんです。
これじゃあ、店の人に彼女だって思われちゃうのにね。

料理人の道を諦めたとは言ってたけど、メニュー構成を見て、あれこれと教えてくれる彼。
なんか、仕事の時よりも目がキラキラとしてて、やっぱり料理人なんだなって思っちゃった。
それを彼に伝えちゃいけないなって理解しながら、いろいろなウンチクを聞かせてもらたんです。

注文してメニューを返すと、しばしの沈黙。
沈黙は苦手だから、彼女と間違えられたことをチクリ。

「彼女って思われちゃったね。」

そういうと、「そうだったら良いのにね。」と言って顔を赤らめてた。

今日は、彼のオゴリなんだし、ちょっとは気分良くしてあげちゃおうかな。

「じゃあ、少しは彼女みたいに接してあげようか? ん~、さっきのネクタイ、見せてくれる?」

ネクタイ屋さんの袋からネクタイを取りだしてもらって、彼の首にネクタイを捲いてあげたんです。
本当はネクタイを着けてあげるのは得意。でも、得意だってことを少し隠しながら丁寧にゆっくりと捲いてあげたの。
彼は椅子に座ったまま、私は彼の横に立って捲いてあげたんです。

キチッと捲けたネクタイ。 もちろん、さっきの店員さんのようには上手じゃないけど、吉澤さんが自分で捲くよりも絶対に上手いよね。

ネクタイを捲いてあげるために接近した距離のまま、しかも私の顔は、彼を見下ろしている。
捲いたばかりのネクタイを引っ張って、少しだけ遊んじゃった。

「ワンちゃんは、お散歩に行きたい?」って。

さっきまでも少し赤かった顔が、一瞬にして真っ赤になった。
そんなに分かりやすく変化しちゃったら、見逃さないよ。

「顔、赤いけどどうしたの?」
ネクタイを引っ張ったまま、意地悪く問いかけちゃった。
まだ食事も始まっていないのに、もうチェックメイトだね。

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あーあ。ネクタイをたどたどしく捲いてあげる演技、これからできなくなっちゃうね。

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