小説「悔しくないの?」 その3
2011/07/28(木)
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もうすぐ週末だね。
楽しい週末になるといいな。
楽しい週末になるといいな。

大きな器に盛られたサラダを、吉澤さんは器用な手つきで小皿に盛り付けた。
やっぱり元料理人だけあって、とっても美味しそうな盛り付けなんです。
「上手だね」
こういうところから、褒められる喜びを少しずつ植えつけちゃうんです。
「うん・・・ キレイに盛り付けるだけで美味しくなるんだよ。」
プチトマトの場所と向きを微調整しながら、小さな声で呟いてる。
「じゃあ、私が味見するから、まだ食べちゃダメね。」
そう言ってサラダを一口だけゆっくり食べる。
いつも以上に良く噛みながら、彼をじーっと見つめる。
サラダを吟味しているのに、彼を査定しているような目で見つめちゃった。
「美味しい。」
表情を崩して素直な感想を伝えたんだけど、やっぱり彼は自分が評価されたかのように喜んでる。
褒めたのはサラダのほうなのにね。
「食べてよし。」
いつのまにかオアズケされてたように扱ったのに、彼は嬉しそうにフォークを手に取った。
そんな彼を見て、クスクスと笑っちゃった。
どうしたの?と言いたそうな表情をしてるけど、教えてあげない。
それどころか、その表情を見て、もう一度クスクスと笑っちゃった。
困ったような顔を見せる吉澤さんに、もっと困らせる一言を言っちゃった。
「オアズケされてたワンちゃんみたいだね。」
言葉を失って真っ赤になる彼を見ながら、サラダを美味しく頂きました。

あー。 手の内をばらしちゃうと次から使えなくなっちゃうね。
昨日は更新できなくてごめんね。
今日から頑張るよ。
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