ショートストーリー21 コンビニ
深夜のコンビニで働いているアルバイト店員さんを・・・

「こちらは温めますか?」
オニギリにバーコードリーダーを押し当てながら、いつものセリフを言っている。
まだ高校生のようにも見えるアルバイト店員だけど、深夜のシフトで働いているってことは高校生じゃなさそう。
童顔。
ネームプレートには、「高木」と書いてあるけど、心の中で「童顔」って呼んでいる。
「うん。14秒ね。」
オニギリの種類によってレンジの時間を変えて指定する。
美味しく食べる為のコダワリ、、、なんてものじゃない。
童顔に私のことを覚えさせるための小細工。
「ちゃんと覚えて。」
レンジの時間じゃなくて、私のことを。
そう心の中で呟く。
「ペットボトルもお願いね。」
ネイルアートを施した手だと、ペットボトルを開けるのが難しい。
だから、一度開けてもらって、軽く締め直してもらう。
本当はネイルをしててもペットボトルくらい開けられる。
オニギリとペットボトル。
たった300円弱の買い物だけど、何回も繰り返しているうちに、童顔は私のことをはっきりと覚えてくれた。
「14秒ですよね?」って。
さあ。
次は何を覚えさせて遊ぼうかなぁ。

また実話を書いてしまった・・・

