背徳 その4
フィクション小説は、本当にまだまだ続きます。
やっと半分くらいかな。 今度は完結させます。絶対に!

彼に背を向け、お風呂に向かう。
温泉が引かれているとは聞いていたが、見た目は普通の家庭用の風呂。
違うのは、湯船の壁に『温泉』と書かれた札が貼ってあって、蛇口があることだけ。
蛇口は青緑色の錆が付いていて、温泉らしさが漂っている。
その蛇口をひねると、ほのかに温泉らしい匂いが立ち込めた。
蛇口から出る温泉の温度を手で触って確かめながら、どれくらいで湯船いっぱいに溜まるのか考えていた。
蛇口から出るお湯が湯船の底にあたり、大きな音と湯気が浴室を満たした。
あっという間に、湯船の3分の1くらいまでお湯が溜まった。
脱衣場で服を脱いで、脱いだ服をたたんでいると、彼もとなりで服を脱ぎ始めた。
首輪のことを怒っているって伝えたくて、何も声をかけずにお風呂場に入ってドアをピシャリと閉めた。
私がシャワーの温度を調整していると、ドアが開いて彼が入ってきた。
彼を無視しながら、首筋にシャワーをあてた。
『ごめん。』
不意に後ろから彼が私を抱きしめて言った。
優しい抱き方でも、力強い抱き方でもなく、彼の不安と緊張を感じた。
『もう! いっぱい減点するからね。』
といって彼の腕を振りほどこうとした。
『じゃあ、、、』
と呟き、今度は力強く抱きしめられた。
しつこいよ。心の中で呟いた。
体を捻ろうとしても、彼の腕が動きを封じている。
反対に捻ろうとしたけど、それもダメだった。
『もう!』
って言おうとした瞬間、彼の手が私の首輪を掴んだ。
Dリングに人差し指を引っ掛け、力強く引き寄せられた。
そして、キスを奪われた。
『こら・・・』
首輪に指を掛けられて、思うままに引き寄せられて、キスされた。
怒っていたはずの私。
でも、一瞬で私の感情が変わった。
変わったことに躊躇いを感じた。
『おとなしくしてたほうが、可愛いよ。』
って言われながら、もう一度、首輪を引き寄せられた。
『いつもは、、可愛くないってこと?』
上背のある彼を、上目づかいで見つめながら聞いた。
『そんなことは言ってない。』
そう言いながら、首輪を引き寄せられて、キスをされた。
『げ、減点だよ、、こんなの、、、』
ふと眼を落とすと、彼のアソコが貞操帯の中で赤く腫れあがっているのが見えた。
窮屈に曲げられていて、痛みを伴っていることは容易に想像できた。

脱衣場で服を脱いでいたときから、怒っていたのに恥ずかしくてたまらなかった。
首輪を外すことができないから、どうしても全裸に首輪だけの姿になる。
恥ずかしくて、彼に見せるのが嫌だった。
私の横で服を脱いでいる時、彼の視線を痛いほど感じていた。
普段、一緒にお風呂に入るとき、いつも私は堂々としるのに。
裸になっても、体をタオルで隠したり、背中を丸めたりしない。
そんな私を見て、『乙女の恥じらいはないみたいだね。』って笑ったことのある彼。
でも今は違った。
首輪ひとつ付いているだけで裸が恥ずかしかった。
恥ずかしがりながら体にお湯をかける私。
満足そうに見ている彼。
『首輪してると大人しいね。 これくらいの方が丁度いいんじゃない?』

お風呂からあがり体を拭いていると、彼が首輪に指を掛けて引っ張った。
引っ張られると同時に、私の両手が首輪を押さえた。
引っ張られるのが恥ずかしかったから。
首輪を外したかった。
ことあるごとに、彼は首輪のDリングに指を掛けて引っ張ったから。
そのたびに、私はペースを乱されて、強引なキスに応じてしまった。
『首輪に触ったら、減点だよ。。。』
小さな声で呟いた。
それは一種の敗北宣言。
首輪が弱点だって認めたんだから。
『じゃあ、リード、出してよ。 持ってきてるんでしょ?』
私の顔が赤くなっていくのがわかる。
耳の先まで熱を帯びていた。
『首輪に直接触らなければいいんでしょ?』
笑いながら聞く彼に、わたしはむきになって言い返した。
『そ、そういう意味じゃない!』
すると、彼は私に近寄り、首輪に指をかけた。
『げ、減点、、、』
少し声が震えていた。
『すぐにおとなしくなるよ。』
減点に怯えない彼。
その彼に怯える私。
指で首輪を引っぱって、キャリーケースのところまで歩かされる。
その中にはリードがある。
それを開けるように目で促された。
キャリーケースのチャックを開けた私は、すぐにチャックをしめた。
そこに犬用の食器が見えたから。
一瞬にして体が凍りつくような・・・嫌な予感。
嫌な予感を感じたことを悟られないようにしたかった。
でも、もう遅かった。
彼の手がキャリーケースのチャックに伸びて、ゆっくりと開けていた。
そして、一番上にある犬用の食器を手に取った。
『だめ、、』
また敗北宣言を発してしまった。
『なにがダメなの?』
と言いながら、私の着替えの中からリードを探り当てた彼。
そして、リードを首輪に繋がれた。
そのままベッドに引かれて・・・
優しく押し倒されて・・・
リードを引かれてキスをした。
いつもと反対。
『あとで、減点するから・・・』
どうしても私の言葉は、首輪をされてから弱々しかった。
いますぐ減点すればいいのに、「あとで」って言った。
それは、いまの行為を、いますぐ辞めなくてもいいという意味。
『あとで、ね。』
リードを軽く引いてキスを促された。
それに応じた私には、減点なんてできないと思われていた。
3回の敗北宣言。
首輪を触られると、私が大人しくなっちゃうって認めたこと。
犬用の食器に怯えたこと。
そして、このまま続けてもいいって認めたこと。
彼の手が、貞操帯に伸びた。
貞操帯を外したいと思っているのは、彼だけじゃなかった。
いま、この状況で貞操帯を外したら・・・
そう考えるだけで、胸が高鳴った。
首輪をはめられたまま、2回連続で逝かされた。
逝きそうになると、リードを引かれた。
彼の胸に顔を埋めたまま逝こうとしても、彼はキスを求めてきた。
一番恥ずかしい瞬間に、キスに応じた私。
二回目も、同じようにキスをしながら体を震わせた。



