目覚め その3
明日はホワイトデーですよ。
チョコをもらった男性は、ちゃんとホワイトデーのプレゼントを用意しないとダメだからね。
コンビニで買うような男は、失格だよ(笑)
チョコをもらった男性は、ちゃんとホワイトデーのプレゼントを用意しないとダメだからね。
コンビニで買うような男は、失格だよ(笑)

金曜日の夜、ふたりは渋谷駅で待ち合わせた。
彼が仕事で遅刻するというので、仕方なく一人でショッピングをして時間を潰すことにした。
新宿で待ち合わせにしておけば、行きたいショップもあったのに…
と思いながらも、白いハイヒールを探すことにした。
春を過ぎて夏に近づけば、白いヒールは品数が増えるけど、この時期だと選択肢が限られてしまっていた。
ショーツやブラと色を合わせてみたかったので、どうしても白にこだわってしまった。
『ブーツでもいいんだけど、持ち運びが面倒だし・・・』
靴と言っても外で履くための靴ではないので、何かのときに持って運ぶことを考えなけらばなら なかった。。
『やっぱりブーツだとダメかな・・・』
4つ目のショップでは、白いヒールはひとつも見つからなかった。
そうしているうちに彼が仕事を終えて、電車で渋谷に向かっているというメールが届いた。

彼との待ち合わせまでに、なんとか白いハイヒールを見つけた。 最初のお店で見つけたハイヒールで、とてもデザインも質感も良かったけど、ちょっと高かった。
ヒールも12cmもあって、つま先が鋭く尖っているデザインは、実用性を半ば無視した雰囲気が漂っていた。
彼と改札口で待ち合わせた。
走ってきたのか、それとも既に興奮しはじめちゃっているのか、頬がうっすらと赤く染まっていた。
5分くらい遅刻してきた女の子が頬を赤くしていたら可愛く見えるって恋愛術特集の女性誌で見たことがあるけど、そんな感じだった。
遅刻の罰として、ハイヒールの入った紙袋を彼に持たってもらった。
『なにこれ?』
無邪気に袋の中を覗きながら、 首を傾げた。
『白いハイヒール。 君専用の、、ね。』
少し驚くかと思って言ったけど、彼の反応は予想と違っていた。
『ほんと? 用意してくれたんだ…』
マゾっぽい雰囲気もなく、プレゼントに喜んでくれた男の子の顔。
『嬉しい?』
意地悪な笑みを浮かべて彼の瞳の奥を覗きこんだ。
『ああ。 忙しいのに、ちゃんと用意してくれたんだね。』
紙袋を大切そうに抱えたまま、無邪気な笑顔を返された。
『白いハイヒールなんだけど、今、見ておく?』
『ううん。 やめておくよ。 見ると返って辛くなるから…』
どうして辛くなるのか詳しく聞きたかったけど、なんとなく彼の言いたいことも分かったような気がした。
金曜日の渋谷は、いつも以上に混んでいた。
『はやくホテルに入りたいからさ、渋谷で食べていくのはやめて、お弁当でも買って行こうよ。』
交差点の人混みを眺めながら言った。 彼の返事が聞こえなかった。 周りが騒がしいから聞こえなかったのかと思って彼の方を向いて同じことを言おうとしたが、そうではなかったことに気づいた。 真っ赤な顔で目が潤んでいたから。
『チカちゃんが、そういうこと言うから…』
腰が少し引けている姿勢。 それは、あそこを固くしてしまったときに痛みを耐える仕草だった。
『そういうことって?』
ハイヒールを持たせた時には大丈夫だった彼の理性は、ホテルに早く入りたいっていう言葉でぐらついたようだった。
何がスイッチになるのか分からないけど、いったん入ってしまったスイッチは、彼自身にはどうすることもできなかった。
『いてて…』
人ごみの中で恥ずかしい痛みをこらえている彼。
『歩ける? 無理?』
一緒にいる私まで恥ずかしい気持ちになってきた。 他の人に気づかれるはずもないのに。
『うん、もう、こういうのにも慣れたし…』
ゆっくりと歩き出した彼の横顔を見上げながら、彼の腕を掴んで、腕を組んだ。
『こうしても大丈夫?』
ぴったりと彼の腕に寄り添った。 半分は心配。 残りの半分は意地悪。 彼は黙って頷いて、歩くスピードを少しだけ早くした。
『じゃあ、これは?』
意地悪をしたい気持ちが高まって、私の胸に彼の二の腕が当たるように抱きしめた。
『もっと大きかったらヤバいかもね。』
私の胸に視線を移して言った。
彼の精一杯の強がりとは分かっていたけど、懲らしめてやりたい気持ちが芽生えた。
『そういうこと言うなら…』
『ん?』
『これでも大丈夫かな?』
胸元からネックレスにぶら下げた貞操帯の鍵をチラッと見せた。
鍵を見つめた彼の表情が、一瞬にして変わった。
許しを乞うような表情で、口元が少し歪んだ。
その変化に満足した私は、組んでいた腕を離して早歩きでデパートの食料品売り場に向かった。
『あ、、待って、、、』
腰が引けたままの姿勢で追いかけてくる彼。 笑顔で振り返る私。
『もう腕組んであげないよーだ。』
ベーっと舌を出した私。平静を装う彼。
普通の恋人とは違うことをしているけど、他人から見れば普通の恋人にしか見えないんじゃないかな?
そう思うと、一緒に歩くことですら楽しかった。
もう一度腕を組んで、歩きだした。
人混みの中で腕を組んで歩くと、すれ違う人の荷物がぶつかったり、追い越す人に振り返って睨まれたりした。
迷惑なことは分かっていたけど、寄り添ったまま食品売り場に向かった。
お弁当売り場の周りも、やはり大勢の人で混んでいた。
『ホテルから出なくてもいいように…』
と言ってお弁当売り場で呟いた私の言葉に、彼が敏感に反応した。 ちょっとしたことで顔を赤くする彼が愛おしかった。
小さめのお弁当ふたつとオツマミを買いこんで、埼京線に乗ってホテルに向かった。

チェックインを済ませて部屋に入った。
ラブホテルと違って清潔感と品性を感じる部屋だった。
お弁当を食べ終わって、一緒にシャワーを浴びた。 お風呂とシャワーに関して言えば、ラブホテルの方が良かった。 トイレとの仕切りはビニールのカーテンだけで、二人で一緒に入れるようなものではなかった。
立ち上がってシャワーを浴びているときも、カーテンに体が触れると冷たくて嫌な感じだった。
『大浴場があればいいのにね。』
『これを外してくれるならね。』
『あっ。そうだったね。』
そんな会話をしながら、慣れた手つきで剃毛をした。
最初のころは儀式のような緊張感があったけど、慣れてしまった今では面倒な日課のようなものだった。
剃毛の前に洗っておいた貞操帯はベッドの上で乾かしておいた。その横には、赤い首輪とリードを並べて置いた。
後ろ手で手枷を嵌められたまま、大きなバスタオルで体を拭かれた彼は、赤い顔で私に体を委ねていた。
小さめのフェイスタオルで、彼のアソコを包みこむように拭いてあげると、あっというまにカチカチになった。 乳液を両手で刷り込んで、貞操帯をはめる準備を整えた。
アソコが小さくなるまでの間、彼はアソコを隠 すこともできずベッドの脇で立たされていた。
貞操帯を嵌める準備をして待っていたけど、いつまで待っても小さくならなかった。
いつも貞操帯をはめる前に意地悪をしていたせいなのか、条件反射のようにアソコを固くしてしまう彼。
『せっかく固くしてもさ、今日は、何もしてもらえないのにね。』
彼のアソコと目を交互に見ながら、固くなったアソコの先端をを指でチョンチョンと突いた。
『可哀そうだけど、今から閉じ込めてあげるからね〜。』
そんな言葉に、さらにアソコは硬さを帯びていく。
『もう、、、嫌です、、、』
彼が降伏の意思を見せた。
『貞操帯、つけないでください、、、』
『あと一日の我慢でしょ?』
彼は、全身に広がってしまった欲求に、心身ともに狂わされているようだった。
『これから、気が狂うほど焦らしてあげるんだからね。』
首を横に振る彼は、すでに狂ってしまっているようにも見えた。
『手加減して、、、ください、、、』
私の笑顔に恐怖を感じているのか、私が笑うたびに彼の視線が宙を彷徨った。
『手加減? 手加減なんてしないよ。』
彼の唇に優しくキスをした。
『本当に狂っちゃうのか実験してあげるんだからね。』



