目覚め その4
ホワイトデーですね。
今日は、素敵な一日でしたか?
一ヶ月間射精を我慢して完熟になった男性読者は、ちゃんとコメントして下さいね。
必ず返事をしますよ。
どんな気持ちで一か月を過ごしたのか。
今、どんな気持ちなのか。
全部告白しなさい。
ホワイトデーのプレゼントは、「君の恥ずかしい告白」ですからね

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15分以上もカチカチのままにしている彼。
体に触れなくなってからだけでも10分は経っていた。
いままでだったら、5分くらいすると小さくなっていたのに。
本当に限界だということを、彼の体が証明しているようだった。
可哀そう。
いまから逝かせてあげた方がいいのかな?
今日 でも明日でも、どっちでも変わらないよね。
本当に限界なのかもしれないし・・・
そう思った瞬間、彼のアソコが小さくなっていった。
彼に何か聞こうかと思ったけど、とりあえず貞操帯をつけてからにしようと思いなおし、手早く貞操帯を取り付け始めた。
何か彼にしゃべりかけたら、きっと反応してしまうと思った。 意地悪な表情を浮かべると、それにも反応してしまうと感じた。
かといって、「無表情が一番意地悪に見える」って言っていた彼が、表情を浮かべない私の顔にすら反応してしまうような気がした。
とにかく急いで貞操帯を被せてピンを通した。
彼の表情を楽しみながら貞操帯をつけるのが好きだったけど、限界を感じさせる彼の言動に焦りを感じていたので、とりあえず貞操帯をつけることを急いだ。
貞操帯の鍵をかけた瞬間、彼は涙を流して鳴き始めた。
まるで動物のように。 ノイローゼになった動物園の熊のように体をゆすり続けた。
しばらく待っても、彼の様子は変なままだった。
呼吸が乱れ、額の汗が粒となって流れた。
『大丈夫?』
彼の視線が私の目を見つめた。
心配そうな私の顔を見て、彼も心配そうな表情になった。
『はずそうか?』
優しさからの言葉ではなかった。
危機感を感じたための言葉だった。
『うん。 お、お願い、、』
しゃべることすら辛そうな彼。
『い、逝かせて、く、く、、ください。』
私は慌ててネックレスから貞操帯の鍵を外した。
いつもと違う切羽詰まった表情に気圧されて、とにかく貞操帯を早く外してあげたかった。
鍵を貞操帯の南京錠に差し込むと、さらに切羽詰まった声が響いた。
『あっ。 は、はやく、、。』
両手を拘束していなければ、私のことを襲ってしまうのではないかと思うほど、彼は衝動的な動きを見せ始めていた。
鍵を南京錠に差し込んだまま、私は手を放した。
あとは鍵を回すだけで貞操帯が外れるという状態で。
自分でも何故だかわからなかった。
鍵を開けてしまうと、すべてを失ってしまうような錯覚。
それが錯覚ということを理解したけど、錯覚だと否定しきれない私の心。
目の前でのたうち回っている彼を見つめながら、少しずつ冷静さを取り戻していった。 冷静さを失いつつある彼とは対照的に。
少しずつ広がっていく温度差。
少しずつ広がっていく立場の差。
『鍵を回して、、、早く、、、外して、、、』
再び貞操帯に手を伸ばした私は、鍵を回さずに引き抜いた。
躊躇うこともなく、焦ることもなく。
彼を愛しているという気持ちと、彼を壊したいという気持ちが心の中で同一化したのかもしれない。
『なんで、、、なんで、、、ねえ、、、』
狂ったような表情で解錠を懇願する彼。
冷静さを完全に取り戻した私。
期待を裏切られた分だけ、彼の苦しさが増しただけだった。
『ちょっと休憩し ましょうね。』
彼の体を優しく抱きしめて、そっとキスをした。
熱くなって震えている彼の体は、抱きしめれば抱きしめるほど切なく震えていた。
壊れたのは彼じゃなくて、私の方だったのかもしれない。
私の理性を壊した責任は、壊した張本人しか取れない。
彼の理性は、ちゃんと粉々に壊してあげたい。
そんな気持ちを込めてキスをした。
私の気持ちを、彼の唇が感じとってくれた。
そんな錯覚のする熱いキスだった。
彼の心にアキラメが広がっていった。

彼の呼吸が整い始めたころ、赤い首輪を手に取って、彼の首に巻きつけた。 彼専用に採寸して買っておいたワンサイズ首輪で、南京錠で鍵をかけることができる首輪。
もうひとつの南京錠。 それは、首輪用の小さな南京錠。
その南京錠に、貞操帯の鍵を通して、そして首輪をロックした。
『ねえ。 鏡、見てごらん。』
まさか自分の首輪に貞操帯の鍵を付けられていると思っていなかった彼は、首を傾げながら壁の鏡の前に立った。
『あ。 これ、、、』
首輪についている鍵を見つけると、驚きの声を小さく漏らした。 そして両手で鍵を握りしめた。
鍵が首輪から外れないことはすぐに理解したみたいだったけど、わずかな期待を捨てきれない彼は、首輪の南京錠を指で弄り始めた。
『それ、分かってると思うけど、貞操帯の鍵だよ。』
彼の背中がピクピクと震えた。
その震えは肩から腰まで広がっていった。
『あぁ、、』
鍵は首輪の南京錠にしっかりと固定されていた。
彼は背中を丸めて貞操帯の南京錠を開けようと試みたが、鍵と南京錠は30cmも離れていて、それ以上近づけることはできなかった。
それでも柔軟体操のように体を必死に曲げて南京錠と鍵を握りしめている彼の姿は、必死になっている分だけ滑稽に見えた。
『無理じゃない? あはは。』
念願の貞操帯の鍵を握りしめることができたのに、南京錠のロックを開けられないことを理解した彼。
『開けられるなら開けてもいいんだよ。』
笑いながら彼を観察する私。 鍵を握りしめたまま精神を崩壊させつつある彼。
潤んだ瞳で私を見つめるしかできない彼に、今度は赤いリードを取り出して見せた。
彼は顎を少し上げて、リードをつけやすいようにした。 無意識の動作だった。
でも、私は貞操帯に付けられた南京錠にリードのフックを引っ掛けた。 首輪ではなくて。
『首輪に繋がれると思ったんでしょう?』
彼は上げた顎を元に戻して、恥ずかしそうに俯いた。
リードを軽く引っ張ると、彼の口から恥ずかしい声が漏れた。
クスクスと笑い続ける私。 弄ばれる恥ずかしさに必死に耐える彼。
『あと24時間、ずーっと言いなりになるんだよ。 じゃないと後悔させちゃうからね。』
貞操帯と私の手をつなぐ赤いリードを引いて、彼をベッドに導いた。
優しく抱きしめあったままキスを交わした。
私は首輪にぶら下げられた鍵を摘まんだ。
彼の瞳を見つめながら、意地悪く笑った。
『愛してるよ。』
もう一度、優しいキス。
『玩具として。』
唇が軽く触れるだけのキス。
『あと、恋人としてね。』
気持ちを込めたキス。
『嬉しいです…』
彼の抱擁と愛撫を全身で受け止めながら、愛を確かめあった。



