小説「暗闇」 その1
2013/02/08(金)
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フィクション小説です。
細かい描写は、実体験を参考に書いていますけど、ストーリーはフィクションです。
細かい描写は、実体験を参考に書いていますけど、ストーリーはフィクションです。

部屋の隅で小さな炎を揺らしているアロマキャンドル。炎が小さく揺れるだけで、影が大きく揺れる。
街灯の光がカーテンの隙間からうっすらと漏れている。 それ以外に照明となるものはない。
そして、少し肌寒い。
部屋の中でも履いたままのロングブーツ。その爪先から10cm離れた場所に、両手を背中側で拘束された男の顔がある。目隠しをされたまま、もう2時間くらい転がされたまま。
半袖のラッシュガードと女性用のレギンスを履かされ、革の手枷を南京錠で施錠されている。
深夜一時の時報がなった。
静かな部屋には、時計の秒針がコチコチと小さな音が響いている。テレビをつけたら、あるいは会話していれば聞こえないような秒針の小さなノイズが、この部屋の静寂を引き立てている。
スタートは深夜1時。
一回だけ鳴った時報の電子音が、スタートの合図。
逃げることもできずに転がされたままの男の全身から緊張感が伝わってくる。
何を感じている?
恐怖?
それとも期待?
深夜一時から48時間。
連続して調教をすると伝えてあった。 準備として昨日は朝ご飯から何も食べさせていない。午後三時以降は、水分も禁止してある。
飢え。
渇き。
寒さ。
静寂。
恐怖。
期待。
男が小さく震え続けているのをソファーに座ったまま見下ろしている。
2時間ぶりに声を掛ける。
「48時間後には、君は私に逆らえなくなっているよ。」
その声に、男は一度だけ大きく震えた。
男を隷属させるために必要な時間は、たった48時間だけ。
48時間後には、私に跪いていることが幸せになる。
調理用の小さなボウルにミネラルウォーターを注ぐ。500ccのペットボトルの10分の1くらい。
ボウルを足下に置き、右脚のブーツをゆっくりと脱ぐ。
目隠しされて何も見えないから、この男は必死に音に食いついている。
きっとペットボトルを開けた音、水を注いだ音、ブーツのジッパーを下ろす音を認識している。ブーツを脱いだ右脚は、黒いタイツに包まれている。タイツには、私とブーツの匂いが染みこんでいる。
爪先をボウルに入れて、水を染みこませる。一瞬だけ、水の冷たさに驚いた。
爪先をボウルから出して、男の口に突っ込む。
何時間も欲しがっていた水分。タイツに染みこんだ僅かな水分に、必死に吸い付いている。
ボウルの中の水は、爪先を入れる前とほとんど変わっていない。ということは、男が必死に吸い込もうとしている水は、ごく僅かということ。
足の指をクニクニと動かして、口の中をタイツのままの足で犯していく。
それでも、男は水分を求めて必死に吸い付いている。無理矢理に爪先を引き出し、ボウルの中に浸ける。
「あと3時間たったらコップで水を飲ませてあげる。それまでは、これで我慢してなさいね。」
そして、もう一度、爪先を男の口にねじこんでいく。

覚えておくと良いよ。
私から与えられる水が、とっても美味しいってこと。
これ以上美味しい水は、どこにもないでしょ?
もっと飲みたい?
もっと吸い付いていたい?
私の足に吸い付いて飲ませてもらった水が、君の心と体を潤していく。
この水がなければ、君は生きていくこともできない。
もっと飲みたい?
もっと飲ませてあげようか?
君の心を潤して欲しければ、 私の足に必死に吸い付かないとダメだよ。
一滴も無駄にしちゃダメだよ。
ねえ。
もっともっと喉を渇かせてあげようか?
そうしたら、もっと美味しい水になるかもしれないね。
一生忘れられない美味しい水、飲ませて欲しいでしょ?

男の名前は、良明。
私の奴隷になりたくて、でも奴隷になれなかった男。
自己破滅に繋がることに気付きながら、私に貢ぎ続けた男。
全てを貢ぎたいなら、48時間の調教を受けなさいと命令した。
セックスや射精とは無縁の、ただ人格をクラッシュ&ビルドするための調教。
48時間後には、私に憧れ、私に恋をして、私に破滅させられる。
もっと貢ぎなさい。
って言葉は、君にだけ使ってあげる。
他の誰にも貢がせてあげない。
まだ、調教が始まってから30分しか経ってないよ。
まだ47時間30分も残っているよ。
今更、逃げ道なんてないけどね。
必死に逃げようとして藻掻いてても構わないよ。
諦めた 瞬間の顔を見せてくれるはずだから。
待っているのは破滅だけ。

続くかもしれません。
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