小説「暗闇」 その4 (改)
2013/02/19(火)
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君の口から、パン粉を詰めたタイツをゆっくりと引き抜いていく。
口腔内が渇いていて、タイツが口の中にくっついているようで、少し苦しそう。
タイツを引き抜いた後の口がパクパクと動いている。
声を出さず、新鮮な空気を1ccでも多く体内に取り込もうとしているみたいに。
コップから水を一口飲んで、唇を濡らして冷やす。
そして目隠しは外さず、君の顔を両手で押さえつける。
濡れたままの唇を、君の頬につける。君が求めている水分だよ。
もう一度コップに口をつけて水を飲む。
わざと音を立てて、ゴクッゴクッって。
喉を潤す音を聞かせてあげる。
最後の一口は飲み込まず、君の口に、口移しで、チョロチョロと少しずつ注いでいく。
飲み込んじゃダメ。
渇ききった君の喉が、わずかな水分を欲している。
見ているだけで、表情だけで、はっきりと伝わってくる。
飲み込んだら、またパン粉だよ。
ほら。
オアズケ。
君は、こうやってオアズケを躾けられていくんだよ。
ちゃんと聞いて。
オ・ア・ズ・ケ だよ
クスクス
まだ。
まだオアズケ。
お水よりもパン粉が欲しかったら、勝手に飲み込んでもいいんだよ。
思いっきり後悔させてあげるから。
クスクス
私が笑う度に、君の頬が紅潮していくね。
大きな溜め息のように、ゆっくりと呼吸して平静を装っているね。
君が苦しんでいる姿。それを見ている笑っている私。
君が苦しんでいることを、私が喜んでいる。
それを君にはっきりと分かってもらうため、何度でも何度でも、声色を変えて笑ってあげる。
そしてね、君が貢いだときにも笑ってあげる。
欲しいものが手に入った喜びの笑顔じゃなくて、破滅に向かっている君を哀れむための笑顔。
君を破滅させる喜びの笑顔。
君を逃がさないための笑顔。
私の笑顔は、君が生きるための餌。
そう教えてあげたのに、また君は餌に食いついているね。
まだオアズケだよ。
オアズケされている時間、長く感じるかもしれないけど、実際の時間は短いよね。
大切にしなさいね。私からしか与えてもらえない幸福の時間なんだから。
ほら。
水をオアズケされているだけで、アソコがカチカチになってる。
水をオアズケされているだけで、アソコがカチカチになってる。
先端から透明な液が滴って、床を少しずつ汚している。
ただオアズケされているだけで、君は幸福と屈辱の中で溺れている。
あとで射精もたっぷりとオアズケにして、もっとも苦しい幸福を与えてあげる。
癖になりたくないって泣かせながら、癖にしてあげる。
オアズケを忠実に守っている君はね、もう負け犬だよ。
クスクス
ほら、また笑われた。
オアズケって言われたから我慢してるだけなのに、忠実だから笑われた。
もう狂っちゃいなさい。
狂ってもいいって思えたら、口の中のお水を飲み込んで良いよ。
それまでは、ずっとオアズケだよ。

飲みたい?
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