ねえ、君も・・・ その2
2013/09/13(金)
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続きです。
フィクションと書けば、ノンフィクションだと勘違いする読者が多いですよね。
フィクションですよ、フィクション。
フィクションと書けば、ノンフィクションだと勘違いする読者が多いですよね。
フィクションですよ、フィクション。

ホテルに入る前に、コンビニを探して飲み物やスナック菓子を買い込んだ。
「時間はたっぷりあるし・・・」
一緒にレジに並んでいる達彦をチラっと見ると、私と目が合ったからなのか、照れ笑いと苦笑いの中間の顔で俯く。
支払いを済ますと、足早にホテルに戻る。ラブホテルには先客がいて、部屋選びをしながら二人ではしゃいでいる。
その二人と比べると、私たちには緊張感が漂っている。特に達彦には。
ホテルの部屋に入ると、すぐに部屋の隅を指さした。
「そこでいいよ。」
達彦は、何を勘違いしたのかコンビニで買ってきたレジ袋を「そこ」に置く。
吹き出すように笑った私を見て、彼も笑 ったような顔になる。
笑ったような顔のまま、何で笑っているのか探るような目を向けたまま、首を少し傾げる。
私は満面の笑みを浮かべて、声に出さずに「オ・ブ・ジェ」と唇を動かす。
それでも理解できない達彦は、さらに首を傾げている。
「オ・ブ・ジェ」
今度は声に出す。
わざと可愛らしい甘えた声。そして優しい微笑みで。
「え、、こ、ここ、、、で、、お、、、お、、」
達彦は、レジ袋の置かれた場所を見つめながら、唇を震わせて固まる。
「躊躇してると辛くなるだけだよ。」
レジ袋を手に取り、冷蔵庫に飲み物をしまっていく。
スナック菓子をソファーテーブルに並べる。
「ねえ、私を不機嫌にして、何か得することがあるの?」
固まったまま立ち尽くす彼に、少しだけ不機嫌そうな顔を見せる。
「ダメね」
時計の秒針に合わせてカウントダウンを始める。
「30、、、29、、、28、、、27、、、」
途端に達彦の顔がこわばり、臆病なマゾらしい目つきに変わっていく。
膝がモゾモゾと動き出しそうになる。
今度は強ばった顔が赤みを増していく。
右足の踵が床から離れそうになる。
男がマゾに変わる瞬間。
今夜は、達彦に何回も経験してもらうつもり。マゾに堕ちる瞬間を。
たった一晩で、達彦を遊び尽くすため。
「もういいや。」
そうい ってテレビのリモコンを握り、ニュース番組を見始める。
部屋の片隅を見つめたままの彼を置き去りにして、テレビを見ながらポテトチップスの袋に手を伸ばした。

〜後記〜
秋になりそうですね。
行楽の秋。食欲の秋。そして読書の秋。
どんな読書をしましょうか???
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