ねえ、君も・・・ その6
2013/12/25(水)
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寒い日が続いていますね。
オブジェをするときには、空調に気をつけて楽しみましょうね。
オブジェをするときには、空調に気をつけて楽しみましょうね。

壁を向いたまま動けなくなった達彦。
回れ右をすることが怖いみたい。
両手をギュっと握りしめて小さく震えている。
もちろん寒くて震えてるのではなくて、別の理由で。
屈辱なの?
それとも、葛藤なの?
彼の右足の膝が少し曲がり、踵が浮いた。
でも、すぐに踵は床についた。
わずか3秒間くらいの出来事。
でも、その小さな仕草で達彦が葛藤に苦しんでいるって分かる。
そして、すぐに踵が床から離れ、右足だけがソワソワしている。
その「ソワソワ」は、最初は右足の膝下だけだったのに、少しずつ全身に広がってくる。
握りしめてた両手が緩み、深呼吸している。
私は慌ててワンピースのインナーを脱ぎ、ブラとショーツだけになる。
それと同時に、達彦が両手 を握りしめ、大きく大きく深呼吸するのが見えた。
深呼吸が終わる寸前に、達彦と壁の間の小さなスペースに、ワンピースを投げた。
不意に背後からモノが投げられ、彼は小さく後ずさりして、床に落ちた布を見つめている。
「脱いじゃった。もう、こっち向いちゃダメだよ。」
あと3秒あれば、もしかしたら達彦は回れ右をしてたかもしれない。
達彦の深呼吸は、大きな溜め息に変わる。小さく震えながら肺に溜めた空気が漏れていくみたいに。
「時間切れってこと。躊躇してるから弄ばれるんだよ。」
クローゼットに掛けられていたタオル生地のガウンを羽織り、彼の肩にもガウンを掛けてあげる。
「それ、着ていいよ。一緒にデザート食べようか。」
コンビニで買ってきたプリンをふたつテーブルに並べていると、不自然な作り笑顔で振り返った達彦と目が合った。



ワンピースのインナー(サテン生地)
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